「絶対レオさんと何かあったでしょ」
お見舞いの林檎を切りながら、和希が言う。
「あったはあったんだけど……」
「何かしたの?」
「したというかされたというか……」
「ツバサから連絡してみれば?」
「……それができたら苦労しないよ」

今のツバサには、レオの気持ちが、わからないんだよ。

「やっほーツバサちゃん!」

そう言って元気に入ってきたのは、絢斗ひとり。

「アヤさん、レオさんは?」
「んー、なんか最近イライラしてるみたいで話しかけにくいんだよね。一応今日も誘ったんだけど、舌打ちされて終わった」
「嫌われたのかな、僕」
「そんなことないと思うよ。何度もスマホチラチラ見てたからきっとツバサちゃんからの連絡待っているんだと思う。レオって見た目怖いそっけないから友達少ないし、普段全然スマホ見ないから」
「だって。連絡してみれば?」
「……うん、してみる」

コミュニケーションアプリの通話ボタンを押して、レオが出てくれるのを待つ。

「中々出ないね」
「はい……あっもしもし神崎さん?」
「お、出たか」

『……よお』
「突然すみません。今大丈夫ですか?」
『……なんだよ』
「なんで、来てくれないんですか」
『は?』
「僕、神崎さんに会いたいです」
『……』

数秒静かになった後、通話が切られた。


そして、病室のドア開いた。

「……ツバサ」
「かんざきさっ、」
「ちょっとツバサ! 気をつけて!」
思わず立ち上がろうとして、ツバサはベッドから落ちそうになってしまった。
「神崎さん!」
「危なっかしいなおい」
「……なんで、なんであんなことしたのに僕から離れて行っちゃうんですか。僕が……どんな思いで神崎さんを待っていたのか知りもしないくせに」
「ツバサちゃん……」
レオが、大きく息を吐く。
そして、ベッドの側まで来てくれた。
「ちょっと移動すんぞ」