「……ちゃん、ゆるちゃん」


「……ん、」



優しく名前を呼ばれてうっすら目を開けると、目のピントが合って、こちらを見つめる明人さんの姿が見えた。


ん??


ん??



どうしてこんな状況になっているのかと、慌てて身体をバッと起こす。



今は……朝?


寝ぼけた頭を必死に回しながら、辺りを見回すと、少し離れたダイニングテーブルで、瑛斗さんと翼くんが朝ごはんを食べているのが見えた。


「あっ、おっはよ〜ゆるちゃん!身体痛くない?」


トーストをかじる寸前で、そう聞いてくれる翼くんに「大丈夫」と答える。


「ごめんね〜。お姫様抱っこでもして部屋に運んであげればよかったのに、俺も爆睡しちゃってたからさ〜」



「騒ぎすぎるからだろ〜」


「そういうアキだって、寝てたじゃん!」


明人さんと瑛斗さんの言い合いは変わらずで。


って。


「す、すみません明人さん!完全に寝坊ですよね!ごめんなさい!」


だんだん頭が冴えて状況を理解して、慌てて立ち上がって謝ると、身体からスルッと何かが離れて落ちた。