――かーえーりーたーいー。

私こと小山内ゆりな(オサナイユリナ)は心の中で叫んだ。

右に視線を向ければ、着物がよく似合う和風美人がいる。

左に視線を向ければ、波打っているブロンドの髪がよく似合う美人がいる。

彼女たちの間に挟まれた私は見事なまでに勝ち目がないのが目に見えている。

惨めだ、これは何のバツゲームなんだ。

帰りたい、できることならばこの場から消え去ってしまいたい。

私の目の前にいるのは、スーツ姿のふくよかな男である。

確か…職業は内科医だって言ってたよな?

そんなことを思いながら男の会話に適当に相づちを打っていたら、
「はい、10分が経ちました。

男性の方は次の人に移動してください」

司会者が言った。

ああ、早く帰りたい帰りたいよ…。

場違い過ぎるこの場所に私を連行した悪魔のような妹を心の底から恨んだ。