ケータイ小説 野いちご

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あり得ない男と、あり得ない結末

1.あり得ない男と


 馬場主任のお父様が経営している定食屋【宴】の奥のテーブルでは、本日、宴会が開かれている。
参加メンバーは、私こと田中美麗、馬場主任、阿賀野さんと瀬川さんになぜか本部長である城治さん。ここまでが会社のメンバー。そして、退職者である仲道さんとご結婚された遠山さんと旦那様。
明日、遠山さんのご実家で法事があるらしくて、出席するために戻ってきた彼女と久しぶりに話がしたくて集まった面々だ。

遠山さんは妊娠中ということで、あまりたばこ臭くもなく、うるさくもなく、体にいいものが食べられるようにと考えれば、店を決めるのが難しかった。そこで、主任がお父様に頼み込んでくれたのだ。

出てくる料理は鍋を中心とした消化の良さそうなものから揚げ物までとバリエーションに飛んでいて、みんなそのおいしさに舌鼓を打っている。

「美麗ちゃん、飲んでるー?」

以前と変わらぬ緩めのウェーブヘアの遠山さん。妊娠中ということもあってか、少しふっくらした印象だ。

「飲んでますよ。遠山さんこそ、ウーロン茶なのに酔っ払いみたいですけど大丈夫です?」

「チッチッ、もう遠山じゃないんだなぁ私。千春って呼んでよ。美麗ちゃんはいつまでたっても他人行儀だよねー」

他人行儀だろうか。これでも千春さんには相当懐いているつもりなのだけど。
千春さんの懐かしい笑顔に、胸の奥がほわっとする。


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