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 住宅街に入ったところで、咲也はやっと普通に歩き始めた。ただ、手は繋いだままだ。
 どこへ行くのか、何がしたいのかを問うが、彼は口を開かなかった。花奈は質問するのを諦めた。


 住宅街を少し外れたところに、小さな空き地がある。あまりに小さくて家を建てるのは難しい場所。


 春には花が咲き、夏は日陰になるから休むのに最適。
 秋にはどこからかやってきた枯葉が彩り、冬に雪が降れば最高の遊び場だ。


 ジャックのお気に入りの場所。


 何も言わず、彼はそこで散歩を始めた。


 寒い中に咲いていたタンポポを見つけてはしゃいでみたり、空から降ってくる雪を見て笑ったり、白くなってきた葉っぱを触って喜んでいる。