「ふぁっ!」


恥ずかしすぎてケーキに夢中になってるフリをしていると、やってきた理玖くんに早速捕まった。

さっきから突き破る勢いで心臓が鳴り響いている。


「た、食べます……か?」

「…………」

「きっ、切りますね、えっと――」

「いらない」

「えっ」

「生クリーム無理」

「えぇ⁈ でも……」

「頭痛くなんだよ、生クリーム食べると」


理玖くんはそんなことを言って、背後から抱き締めた私を振り向かせる。

抱っこしていたぬいぐるみにふと目を落とすと、黙って私の手から取り上げた。