一気に起こった出来事で頭が真っ白になっていると、理玖くんがベッド脇から何かを手に取った。

差し出されたものに思わず首を傾げてしまう。


スマホ……?


理玖くんが突然出したものは、一台のスマートフォン。

黙ったまま手の上をじっと見つめる。


「あの……これは……?」

「桃香のスマホ。必要かなって言ってたじゃん?」

「えっ……私のですか?」


でも何で?

何で理玖くんが?


「気にしてるみたいだったから、頼んどいたの、俺から親に」

「えっ……」

「で、コレ。桃香にって」

「そんな……私、こんなことなら自分で」

「いいんじゃない? お言葉に甘えて使っとけば」


理玖くんはそう言って私の手にスマホを握らせる。


「え……でも」

「あぁ、わかった。使い方わかんないってやつか」