『藤澤旭です
連絡が遅くなってすみません
土日どちらにしますか?』


超がつくほど簡潔で無駄のないメッセージが私の携帯に届いたのは、翌日の夜だった。
絵文字も顔文字もない文が、これまた彼らしいなと思った。

来週から合宿と話していたから、それが仮に月曜日からだとしたら、日曜日の夜に飲みに行くのもなんとなく違う気がする。
ということで、私からの希望で土曜日に会うことになったのだ。


「相手は野球で忙しい人なのよ。だからこうやって二人で会えるチャンスなんてめったにないと思いなさい!」

連絡先を回してくれた沙夜さんには当然のごとく話は筒抜けなので、隠すこともできない。

彼女は私を心底心配して、当日はスカートで行けとか、酔ってなくても酔ったフリをしろとか、話している間はひたすら見つめろとか、散々言われた。
しかしどれもなんだか計算高く感じてしまい、そんなの無理だと抗議すると「柑奈ちゃんには無理か…」と哀れみの目を向けられてしまった。

そんなものができていたら、もうとっくにしている。


「柑奈ちゃんはいつから彼氏いないんだっけ?」

「えーと、もう二年くらいはいませんね」

「まぁ、この会社にいたら出会いもないもんね」

今日も緩く、仕事しながら私語を慎まない私たち。
淡口さんが時折わざとらしく咳払いをしてくるけれど、沙夜さんはお構いなしである。