私には、同じ学校に男友達がいた。

横山英吾だ。


「暗い表情。」

昼休みに、屋上にいたら、英吾が話しかけてきてくれた。

「そう?」

「そうだよ。何か、悩み?」

屋上の柵に手を掛けて、英吾は私の横に、寄り添ってくれた。

「あのさ……英吾は、彼女いる?」

「いない。何、恋愛の悩み?」


恋愛……

弟との恋なんて、恋愛になるのか。

私はもっと、下を向いた。


「なんだ。好きな奴でも、できたの?」

その言葉に、涙がポロッと落ちた。

「……好きになっちゃ、いけないの。」

「えっ!」

英吾は驚いて、周りをキョロキョロと見渡した。

「もしかして、先生だとか?」

私は、頭を横に振った。

「えっ……だとしたら、不倫……」


ある意味、不倫よりも重い。

理人。

あなたは私に、何て重い物を、背負わせてくれたのだろう。