「知らなかった〜。」

「高宮課長、離婚してたんだね。」

「私もビックリしたよ。」

 同期の2人と入ったお店はローストビーフ丼が有名なお店。
 メニューの写真は山のように盛られた赤ピンクのお肉でご飯が見えない。

 女の子ばかりだと気取らないで、行きたいお店に行けるから嬉しい。

 注文を済ませた佳乃ちゃんが怪しい目つきをさせた。

「狙い目じゃない。」

「狙い目………。何の。」

 きょとんとしていると佳乃ちゃんはあっけらかんと言ってのける。

「フリーな者同士。」

 呆気にとられる私をフォローするみたいに真美ちゃんが意見した。

「不謹慎だよ。
 まだ、、そんなこと考えられないよね?」

「うん………。」

 黙ってしまったら、2人とも心配そうな顔を向けている。
 だから私は慌てて手を左右に振った。

「ごめん、ごめん。暗くなっちゃって。
 でも本当にもういいの。
 当分は色恋沙汰はいいかなって思ってる。」

 というよりも一生独り身の方が気が楽だ。
 もうあんな思いはしたくない。