「ええっと、iPh●ne……さん?」

「はい、マスター。何でしょう?」

 
 どことも分からぬ深い森の中。
 そこに木々をなぎ倒して出来た爆心地よろしくなクレーターにアタシ達は立っている。


 まずだ。
 解決すべき最優先の問題はここだ。

 
 この男――自称『iPh●ne』の呼び名だ。
 名前がいくら何でも呼びづらい上に、何かに引っかかりそうな気がする。
 下手に連呼すると、もう亡くなったはずのア●プル創始者の眼鏡のおじさんが墓から這い出てきて、片手に持ったリンゴをグシャッと握りつぶしながら「次は君の番だ」とか言い出しそう。
 ヒェ、超怖いんですけど。


 アメリカは権利を侵害されたら即裁判が基本の社会。
 相手は、それはそれは大きな会社だから、やり手のお抱え弁護士を何人も雇っているはず。
 アタシの敗訴確定じゃないですかヤダー……。
 JKにして、アタシの人生が金銭的、法令的な意味で終わってしまう。