「明けましておめでとうございます。
空良くん、おめでとうございます。」

いよいよ新学期が始まり、子供たちが登園してくる。

「ゆいせんせい、あけましておめでとうございます!」

空良くんの可愛い声に重なって

「おめでとうございますは、唯先生よね?
まさか悠人先生と婚約なんて。びっくりよ~」

「ええっ~
私は、疑ってたわよ。
だって、悠人先生ってやたら唯先生に構ってたじゃない。
遠足も運動会も……」

「あぁ!そう言えば、
空良がウサギ組だけカニをもらったって言ってた。
そう言う事かぁ!!
でも、悠人先生はともかく……
悠人先生を怖がってのに、婚約って………。」

「そこは男と女だもん。
お互い、ずいぶん昔に思い出があるでしょう?」

井戸端会議に花が咲き始めて、困っていたら………

「空良くんと穂香ちゃんのママ、おめでとうございます!
ウチの奥さんが困ってるんで、お手柔らかにお願いしますね。」

「わぁ!悠人先生。
おめでとうございます!!
今年は重ねておめでとうですね。」

「ウチの奥さんって!!
悠人先生、はしゃぎ過ぎですよ。
まぁ、幼稚園切っての人気者の唯ちゃんを射止めたんだから
はしゃぐなっていう方が、無茶ですけどね!
奥さんって事は、もう籍を入れた??」

「イエイエ。
これから3月までが一番忙しいのに、籍なんて入れてノロケてたら
園長にしばかれるよ。
来年度は、新しい事が始まるから……
結婚は、早くて再来年です。」

「なんだぁ~
そう言えば、新しい事って何??」

「今日、子供たちがお手紙を持って帰るので
お家で検討してみてください。
空良くんのお家は、蒼君が対象なので。」

「えっ?!蒼君が??」

「はい、なので宜しくお願いしますね。」って

おしゃべりママ達の興味を、結婚から他にそらしたの。

幼稚園を後にするママ達を見送って

親指を立てて、グッと笑顔を見せる。

スゴいなぁ。

「今日は大変だと思うけど……頑張って。
俺も出きるだけフォローするから。」って。