俺には、ずっと昔から好きな女がいる。


名前は二宮愛莉。


存在自体が愛おしい。


誰が見ても美少女……と言うのとは少し違うが、小動物みたいにフワフワしていて、控えめで、周りに流されず。


なかなか鈍感で厄介なところもあるが、そんなところも含め、癒されてクセになる……。


自分では全く気づいてないようだが、そんな中毒性をもつ女であることは確かだ。



俺は中学の時に、ハクの兄貴が幹部をしていた「鳳凰」に誘われて入り、高1のときに総長になった。


鳳凰は15代も続く歴史ある暴走族。


仲間を大切にしたい奴ら、居場所の見つからない奴らの拠り所として作られたもので、警察の世話になるようなことをする集団ではない。


目つきの悪い俺に総長はぴったりだ、なんて前総長に笑われながら言われたが、冗談とも思えねえ。


俺が総長で鳳凰は大丈夫なのかと思ったが、意外にも下の奴らはついてきてくれるし、俺を支えてくれる幹部メンバーが俺よりしっかりしているおかげで、鳳凰はこの界隈でナンバーワンで居られる。