「ふわぁ~」



朝。昇降口であたしはこっそりあくびをした。


煌くんが家に迎えに来るようになって一週間。


冗談だと思っていた話は冗談でもなんでもなくて。次の日も、当然のように同じ時間にあの車に乗って現れた。


断ったところでやめてくれるような彼じゃない。


だったらあたしがそれに適応させるだけしかなくて。


来る前に支度が終わってないといけないし、普段より30分も早起きになった。


まだ慣れなくて、朝は眠くてたまらないんだ。


車の中であくびなんて恐れ多くて出来ないけど、ひとりになったとたんこれだもんね。



煌くんとは時間差で校舎に入っている。


煌くんはなんで?って不満そうだけど、同じ車から一緒に降りて校舎に入るなんて周りの目が怖くてムリだもん。




「あれ?」



靴箱を開けた瞬間、ひらりと紙が舞った。


どうやら、あたしの靴箱から落ちたみたい。