入学式の日の噂が
段々と収まってきた5月初め。


「どこ行こう~!!」


私と斗真はもうすぐ付き合って1年を迎える。
だから1年記念旅行を計画していた。


珍しく莉子は用事があるとかで、
先に帰ってしまったので
1人、教室で斗真の部活が終わるのを
待ちながらスマホで検索。


見てても決まらないので
ジュースを買いに行こうと立ち上がった時。


「有栖先輩?」


スッと耳に届くような綺麗な声がした。


ドアに視線を向ければ
甘い顔立ちの男の子がいた。
子犬系?
なのに身長は高くてすらっとしている。
顔に似合わないさっきの低い声。


ぼーっと彼を観察していると
いつの間にか目の前まで来ていた。