「蒼!」


今日から新学期。そして入学式も行われる。


それでなのか、職員室のムードもいつもより華やかだ。


生徒の名前を確認していた俺、藤宮蒼。


そんな中、聞き覚えのある声で名前を呼ばれた気がした。


「蒼も担任になったの?」


そう言って話かけてきたのは、高校からの親友である西沢歩(にしざわ あゆむ)。


俺がこの高校に赴任した時、同じタイミングで歩もこの高校に赴任してきたのだ。


この高校に赴任してだいたい1年くらいになるけど、今でも歩と話すたび同じ場所で同じ職業に就いてるなんて不思議に思う。


「そうだよ。初めて1年生の担任を任されたから名前の確認しとこうと思って」


「お前も担任になるんだな、実は俺も1年生の担任を任されたんだ」


そう言って、歩は1年4組と書かれた名簿を俺に見せる。


歩は4組か、俺は3組だから隣じゃないか。一体どこまで一緒なんだろうな…


「お前3組?隣じゃん!俺らどこまで一緒なんだよ(笑)」


歩は笑いながらそう言った。


俺と同じ事考えてる。友達と一緒にいるとだんだん考え方が似てくるって聞いたことあるけど、その話はどうやら嘘じゃないようだ。


「お互い頑張ろうな」


そう言って、歩は俺の肩に優しく手を置いて職員室を出て行った。


さて、俺も教室に行くか。


必要な物を持ち、今一度身なりを整えて教室へ向かう。