「疲れたぁー」
私は青いドレスを着たまま呆然といつものようにソファーの下で、丸くなっていた。


ピンポーン


誰よ?
もう疲れてるのに?


「奏音ちゃん、奏音ちゃん、いるんでしょ?」


「え?また玲於?」

仕方なく私は扉を開けた。


「奏音ちゃん、そんな格好でどこ行ってたの?タクシーだったよね?たまたま見ちゃった…」
玲於は、セクシーな声を出して聞いてきた。


「…ん?ちょっとね」


「大丈夫?ちょっと入っていい?」
玲於はいつも強引だ。

「えぇー?何言ってるの?ってかもう入ってるし」
私は、玲於の積極的な行動に毎回驚かされていた。


「な、なんか用事?」
私は震える声で聞く。


「うん、奏音ちゃんに会いに来た」
嬉しそうに言う玲於。


「は?あなた里穂の彼氏でしょ?なんで私のとこ来るのよ」


「だからーこの前も言ったじゃん。奏音ちゃんが好きだって」


そう言いながら、私をソファーに座らせた。


「ねぇーキスしていい?」


「な、何……」

数秒もなかった。


玲於の唇が私の唇に重なった。

不覚にもドキドキが止まらなく突き放せない。

柔らかくて暖かい唇。
甘酸っぱいキスの味。


「俺のこと、好きになれよ」
玲於は、まじまじと私を見つめて、そう言った。


心臓が破裂する。
だって里穂の彼氏なんだよ。
何これ?
意味不明だよ。
親友を裏切った?