始まりは、お父さんのひと言だった。


入学してから、もうすぐ2年目の春を迎えようとする頃。


「美月。ちょっと話があるんだが、いいか?」


珍しく真剣なお父さんの声に、大事な話だと察した私は、身構えながらお父さんの前に座る。


「うん。どうしたの?」


「あのな。…美月に、会わせたい人がいるんだ」


その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが崩れていく音がした。