「今日も残業するの、菜々美?」

ボーッとしながらデータをパソコンに打ち込んでいたら、隣の席で終業処理をしていた結花から声をかけられた。

「ああ、うん・・・」

結花が定時で上がろうとしているという事は、彼氏とデートなんだろうか。
ぼんやりとそんな事を思う。

「直接佐藤さんに確かめてみた?」

結花が心配そうに私を見る。
私は、力なくヘラッと笑ってみせた。

「ううん、まだ。でもさ、あれ・・・」

私は、1週間前に見た光景を思い出していた。