高校1年、10月──。 秋の肌寒い日が続いていて最近は布団から出るのが辛い。 でも、そうも言っていられないから無理矢理体を起こす。 もう着慣れた制服に袖を通して鏡を見て確認する。 「うん、いい感じ!」 「氷菜ーっ、夏美ちゃんが待ってるわよー!」 下から私を呼ぶお母さんの声。 そうだ! 今日から夏美ちゃんと一緒に登校する約束をしてたんだった! すっかり忘れていた。 私は荷物を持って、慌てて階段を駆け下りる。