困った。
どうすればいいのか…

「櫻井」

「っ、は、はい」

「風呂溜めたから、先に入っていいぞ。タオルは出してあるから使っていいから」

「は、はい。ありがとうございます」

ドアを開けると、課長はもうリビングに戻っていた。
浴室に行くと、綺麗にたたまれたバスタオルとタオルが重ねて置いてあった。
課長らしい…
そう思った。
ご厚意に甘えよう、私はリビングにいるだろう課長に、小さくありがとうございますと言ってお風呂に入った。

「お先にお風呂いただきました。ありがとうございました」

リビングでソファに座り、煙草を吸っていた課長が後ろを振り返った。
煙の向こうに見えた課長から、視線が外せなかった。
私服姿の課長…カッコいい。

「上がったか?シャンプーとか買ってなかったから、俺ので悪かったな」

「いえいえ、使って申し訳なかったです。すみません」

「じゃ、俺も入ってくるよ。もう先に寝てていいよ。明日は仕事も休みだし。ゆっくりしたらいい」

「あ、はい」

そう言うと、課長は浴室に向かった。
はぁ…
半端ないな、あの色気。
男の人の色気なんか、あんまり感じない方なんだけど、課長は特別かも。
みんなが騒ぐのも分かるな…

ただ、怒らなければの話。
怒ったら怖いしな…
なんか、疲れたな。

でも、やっぱり家はいいな…安心出来る。いいところが見つかればいいけど…

気がつけば、私はソファの上で寝てしまっていた。