悪夢のような怒涛の1日は終わり
まるで穏やかにも思える翌朝を迎え。


「昨日のアレはなんだったの、マジで…」


こっちは
ブルーなテンションで出勤。

吹雪さんと言い
陽向さんと言い
何かと激しいんだよ、カミングアウトが!


「はぁ…」


もうねぇ…
吐く息は溜め息しか出て来ないわ。



いつものようにタイムカードを押し
自分の部署に向かっていると。


「あ、おはよう~セツナさん!」


ニッコニコしながら
離れた距離から
こちらに大きく手を振る、吹雪さん。


「げッ」


最悪だ。
特に会いたくない相手だっていうのに。

しかも女装のまま化粧もしっかりして
昨日のカミングアウトは
実は嘘だったんじゃないかと疑うくらい今日もしっかり美人で。


「アタシ絶対騙されてるよなぁ…」


何が真実なのか
全然わかりません。


「昨日はごめんなさいね。
 イロイロ驚いたわよね?」


えぇ、とっても。
もっと言ったら
未だにアナタの正体を
有耶無耶にされていますし。


「あのあとも
 アルトに怒られちゃったしね」


『フフ…』って笑っていますが
笑い事じゃありませんよ。