一目惚れなんてしていない。だって相手は、変わり者だよ。
「田島さん、」
この声は……
「さっきからずっと自問自答しているような感じするけどどうしたの?」
やっぱり。加山くんだ。
問題はそこじゃない。この人は人の心を読めるのか…?
「やっぱり〜僕の言うことドストライクでしょ!」
「違うよ〜。ぼーっとしてただけ。」
「なんだ〜残念っ!」
嘘ついっちゃった…でも、許して…。
「香奈〜!」
「ん?」
梨々香がニヤニヤしながら私のところに来る。
「どうし……」
梨々香は私の手を取り勢いよくトイレに駆け込む。私の手を握る梨々香の手はいつもより力が強かった。
それだけ大事な話なのだろうか……?
「香奈。さては加山に惚れたでしょ!?」
「ないない。惚れるとか。」
さすがに梨々香に惚れたんじゃなくて、気になるなんて言ったら、それが恋だよとか言うんだろうな。
事実、まだ好きと認めた訳じゃないから嘘ついてないよね……?
「なんだ〜」
「えっ?」
「香奈も好きな人できたのかと思ったわ」
「香奈もってどういう意味?」
「え…聞いてないの?」
「うん。」
「奈々が告られた。」
「えーーーー!!!」
「ちょっと声でかすぎるよ!」
「あ、ごめんごめん。てか、誰に?」
「松嶋大気に」
「松嶋って……奈々の好きな人じゃん。で、OKしたの?」
私は、夢を見てるのか……?
「うん。さっき奈々が言ってた。」
「ここで話すのもあれだから、奈々も連れてカフェでも行かない?香奈、塾ある?」
「行く!」
状況がわからない。
「お二人さんさっきからすごい盛り上がってるけどなんの話〜?」
本人登場!いろいろ聞きたいことがあったけど、今は辞めとこう。
「奈々もカフェ行く?」
梨々香は、奈々を誘えて嬉しそう。
「行く〜!せっかく行くなら奏ちゃんも一緒に行こうよ。」
「そうだね!奏〜!」
梨々香の声は良く通る。
「はーい!」
「今からこの3人でカフェ行くんだけど奏も行く?」
「えっいいの?行く行く!!」
人違いじゃない?みたいなもの心配そうな顔をしながらもOKした奏はちょっと嬉しそうだった。