あっという間に時は過ぎる。もう中3か……って、受験じゃん。
高校どこにしよう…
青春全然してない…
勉強…
「田島さん聞いてますか?」
あ、やばい。
「はいっ大丈夫です!」
先生の声でやっとというほどではないが、現実世界に戻れた。
さっきから先生はずっと受験生なんだからしっかりと自覚を持って学業に励んでくださいなど…綺麗事ばっか言っている。
もしかしたらこのクラスにいる私を含めて36人が思っているのかもしれない。
周りを見渡すと、本を読んでいる人、睡魔と戦っている人、絵を描いている人などなど……十人十色とはこのようなことを表すのかな……?
長かった先生の話が終わり休み時間になった。
「香奈〜!今年も同じクラスになったね。よろしくねっ!」
「おー!梨々香!こちらこそよろしくね〜」
梨々香は 、私の小学校からの友達で今ではなんでも話せる親友。
「あ、奈々も同じクラスだ」
私は教室の後ろの方で掲示物を眺めていた奈々を指差した。
「本当だ!」
梨々香は前から私に奈々を紹介してよ〜っと何回もお願いされたことがある。
そういう女子の友情の仲介を苦手とする私はもちろん断ったけど……少し気にしていた。
今年は奈々も同じクラスだから梨々香に頼まれることがなくなるだろうと期待している。
肩の荷が少しおりたきがして空の青空がいつもより綺麗に見えるのはそのせいなのか……?
梨々香と奈々はお互いに聞きたいことを聞き合っていた。
「田島さん……だっけ…?初めまして。私は、桜井奏です。よかったら私と仲良くしてください。」
正直驚いた。
「ぜひ!田島さんじゃなくて、香奈でいいよ!えーと、奏って呼んでもいい?」
「はいっ」
こんなに積極的に私に話しかけてきた人は梨々香と奏だけだ。
うまく話せていたかはわからないけど友達が一人増えて嬉しい。