バスの運転手さんが、あと10分弱で到着するというアナウンスを流した。

それを聞いて、私はスヤスヤと眠っている佐倉先輩の肩を優しく揺する。


こんなにぐっすり寝てるから、起こすの可哀想だな……。



「佐倉先輩、もう着きますよー」

「……ん」



先輩が、眠たそうに唸った。

ゆっくりと、その瞳が開かれる。



「……あ……静香ちゃん……」



佐倉先輩は、目を擦って頭を起こした。

肩に乗っていた体重が無くなって、すっと軽くなる。

起こさないようにじっとしていたから、体が少し固まっていた。



「あと10分くらいで到着するみたいです」

「そっか……んー、良く寝た……」



大きな欠伸をした佐倉先輩は、ふにゃっといつもより幼い笑顔で笑った。