【杏彩side】


「よっ」

「……は?」


次の日の朝、学校に行こうと家を出てすぐ春瀬がいた。

しかも、壁にもたれながら右耳にイヤホンをつけてスマホをいじりながらいかにもあたしのことを待ってました、みたいに。


「朝からぶっさいくだな」

「なんの用?ストーカーですか?」

「せっかく人が迎えに来てやったのに
ストーカー呼ばわり?」

「いや、普通に気持ち悪いからね」


だって、あたしたちもうなんでもないんだし。
むしろ、あたしはあんたのこと嫌いだし。


「つれないねえ〜〜あずちゃん」


足を止めずに歩き出したあたしを後ろから追いかけてきて、さりげなく隣を歩く春瀬。


「その呼び方、ほんとにどうにかして」

「やだ」

「やだじゃないし」

「ほんとは嬉しいくせに」

「頭おかしいんじゃない?」


どうやったらそんな思考になるんだろう。