期待に胸を膨らませ、座り心地のいいソファに体を軽く預けた。

 高級ホテルのフロントラウンジ。
 そこに滞在する人でさえ、紳士淑女に見えるから不思議だ。

 実際、ここに滞在できるのだから紳士淑女に間違いはないのだろう。

「お客様。こちらへ。
 お連れ様がお待ちにございます。
 お客様、お連れ様がおみえになりました。」

 コンシェルジュの仰々しい言葉に顔を上げて極上の微笑みを向けた先には丁寧に頭を下げた青年がいた。

「本日はよろしくお願い致します。」

 私も立ち上がって頭を下げる。

 立ち上がって気が付いた。
 ヒールを履く私よりも遥かに背が高い。

 高鳴る鼓動を感じながら挨拶を口にする。

「こちらこそよろしくお願い致します。」

 これでイケメンだったら夢のようなお見合いだ。

 頼りない部長だと思っていたけど、やるじゃない部長。
 部長に頼んで良かったかも。

 呑気なことを思いながら顔を上げると、イケメンという言葉がぴったりの好青年が立っていた。
 まさかお見合いでこんな素敵な人と出会えるなんて。