久しぶりの七恵との昼食は、会社から少し離れたパスタ店に行った。

「えっ、社長とつきあってるの!?」

そう聞き返した七恵に、
「シーッ、声が大きい」

私は人差し指を唇に当てると言った。

時間が時間と言うこともあり、店内には人がたくさんいて騒がしい…けれども、幸いにも誰も私たちの会話を気にも留めていないと言った様子だった。

「私が知らない間にずいぶんと世界が動いていたのね…」

そう言った七恵に、
「しばらく会うことなかったからね」

私は返事をすると、カルボナーラを口に入れた。

「秘書課の人たちは芽実と社長がつきあっていることは…」

ペペロンチーノを食べながら聞いてきた七恵に、
「今のところは田中さんだけが知ってる」

私は答えた。