それから数日後、私と陽葵ちゃんはいつものバーで飲んでいた。

「…武智さんに全部話したんだ」

そう声をかけた私に、
「うん、話した。

何もかも全部、武智さんに話した」

陽葵ちゃんは言った。

「それで、どうだったの?」

続けて聞いた私に、
「武智さん、何となくだけど気づいてたみたい」

陽葵ちゃんは答えた。

「えっ、陽葵ちゃんが小説家だって言うことに?」

ものすごい勘を持っているなと思いながら私は聞き返した。

「本棚を見た時、同じ作者の同じ本が10冊以上もあったから不思議に思っていたんだって。

そのことを武智さんと一緒に同居している人に聞いたら小説家かそう言った関係の仕事をしている人なんじゃないかって」

「なるほど…」

そう言った陽葵ちゃんに私は返事をした。