ケータイ小説 野いちご

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世界で一番似ている赤色

透明な気持ち、色を帯びゆく。
3








梅雨に入り、空は重たそうな雲で覆われていた。


各駅停車の電車に乗り、4つくらい駅を通り過ぎる。


街と街の間にある、一度も降りたことのない5つ目の駅。そこが優にぃの家の最寄り駅。



『東口出て階段下った先のコンビニいる』



住宅地のため、人が増えるのは電車が来る前後だけ。


一緒に降りた人たちが一通りいなくなってから、わたしも改札を抜けた。



ロングスカートを引きずらないよう、裾を持ち上げ階段を下る。


コンビニの窓越しに、漫画を立ち読みしている優にぃの姿が見えた。


左右にステップを踏んで近づいても気づかれない。集中しているみたい。


彼の様子を少しだけ楽しんでから、窓をコンコン叩いた。



ガラス越しに目が合う。



「ぷっ!」



すごい勢いで顔をそらされた。


友達と研究を重ねた変顔は、きっと、今この瞬間のためのもの。


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