腰の少し曲がった神父の祈りの言葉が響く中、王の葬儀はしめやかに行われた。

多くの参列者が隠されていた王女の存在に注目したが、イアンの厳しい指導のおかげもあり、メアリは作法や挨拶で失敗することもなかった。

もちろん緊張はしていたが、肩周りに花柄のレースがあしらわれた黒いドレスとお揃いのベールで顔を覆っていたので幾分か気持ちは楽だった。

黄昏に染まる墓地で、メアリは大きく息を吸う。

今頃、母マリアとの再会を喜んでいるだろうかと、メイナードの名が刻まれた墓石を見て、メアリは寂しさを滲ませた笑みを浮かべた。

しかし、その寂しさをいつまでも顔に残してはいられない。

メアリの後ろには、近衛騎士団が控えている。

きちんとした教育も受けていない上、泣いてばかりの頼りない王女ではきっと不安に思うだろう。

メアリは弱い自分を心の奥に押し込めるよう唇に微笑みを乗せて振り向くと、暮れゆく夕陽の色を纏うユリウスと目が合った。

その横にはルーカスとウィルもいる。

メアリが帰ることを告げるようにひとつ頷くと、ユリウスは自分の隊に何かを指示し、第三部隊の騎士たちが墓地の外へと向かって行った。

背を見せた騎士らの中にはセオの姿も見え、メアリはふと今朝、騎士たちに挨拶をした時のことを思い出す。