翠から聞かされた真実…真実じゃないかもしれないけれど、聞いた話は信じたくないものだった。

拓真さんの彼女は、2つ年上で会社の上司らしい。付き合って3年。
会社の人には内緒で付き合ってると。

もうすぐ結婚?って話も考えていたらしい、とも聞いた。

誰の話をしてるの?
私が知ってる拓真さんじゃない、そんなの嘘。

「香里?大丈夫?」

言葉少な気に、俯く私に翠は気を強く持つのよ、と。

「ま、まだ…付き合ってるって言ってるの?」

「私が聞いた話はね、奥菜さんの友達が言うには、プロポーズしようとしてたらしいの。指輪も買ってたって話」

プロポーズ?
誰に?誰が?
何…

頭を何かで割られたような衝撃だった。
私も、プロポーズされたのよ?
結婚しよう、って…

嘘!嘘よ!

翠の話をそれ以上聞いていられなかった。