突きつけられた現実だった。
私は今起こってる事が、なんなのか分からなかった。

「愛してるよ。慶都」

って、誰?
付き合ってる人はいない、と言っていた拓真さん。
誰?身体を起こしたいのに、認めたくない現実と今まで拓真さんの熱に侵されていた私は身体の自由が利かなかった。

そして、電話を終えた拓真さんがベランダから戻ってきた。
何もなかったように、タバコに火を付け、ベッドに腰をかけていた。
空いた片手で、私の頭を優しく撫でるその手を私は振り払う事が出来なかった。

そのまま、私は再び寝てしまっていた。