「ねー、香里。合コン行かない?」

「えー?合コン?知ってるでしょ?碧、私そういうの苦手なの」

「何言ってるの!そんなんだから、まだ彼氏いたことないんだって」

香里が慌てて、碧の口を抑えた。

「ち、ちょっと!声大きいって!」

「っ、苦しいって。だって本当の事じゃない。もう22だよ?彼氏作らなきゃ!」

碧の勢いに負けた香里。

「すぐ帰るけどいい?」

「うん!いい!じゃ、場所と時間はLINEするねっ!」

そう言うと碧は、事務所に走って行った。

ふぅ。いつも碧は強引なんだから、私は碧と別れて内科のナースステーションに向かった。


浜口香里、病院に勤める22歳。
合コンに誘っていたのは佐々木碧、看護師ではなく、事務員。
年も近い事もあり、仲良くしている。
事あるごとに、香里を合コンに誘っている。

はぁ、確かに今まで付き合った人がいないんだけどなぁ。
いい人いないし、男の人とそんな関係になるなんて!
無理無理。


定時になり、更衣室で着替えていると碧からLINEが来た。

【場所 向日葵 時間19時】

向日葵かぁ、あそこのご飯美味しいんだよな。それだけでもいっか。

着替えて、化粧直しをして待ち合わせ場所に行った。

私はこの時、ただご飯を食べに行ったはずの合コンで、こんな出会いがあるなんて…