ケータイ小説 野いちご

サイレン

サイレン



今日は色々な音が聞こえてくるなあ、とは思っていた。
明らかにいつもの私の家とは違う場所にいるっていうのは、どこかで感じていて。でも、とにかく眠いし頭も痛いし、それに加えて寒いし、身体を起こすことも目を開けることも億劫だったのだ。


記憶の隅っこに、ひたすら機械音が鳴っている。
ガガガガガ、ドォーンドォーン、ガタガタガタガタ、ズンッ、カンカンカン、ファンファン。
なんの音だったんだろう。
まるで、工事現場みたいな音だった。

今現在はというと、すぐ近くでシュンシュンという音がする。

やがてガタッと扉のようなものが開く音がして、足音がこちらへ近づいてきた。
立ち止まったのか、音が止む。
シュンシュンと聞こえていたものが消え、コポコポ液体を注ぐような音。


ドサッ、という音がしたあと深いため息のような「はあ」と明確に男性だと分かるような声。

「……どうすんだよ、この女」


この女って…………私?

うっすら目を開けると、前には白っぽい少し光を反射するような素材の壁紙があった。
あぁよかった、悪趣味なホテルとかじゃなさそう。
呑気なことを考える余裕まである。

だけど─────後ろを振り返る勇気はまだ持てない。


あまり寝心地は良くないところに寝かされているのは分かったし、なんかちょっとタバコのにおいもする。バスタオルか何かをぐるぐる丸めたものを頭の下に敷いているのも感じたし、厚手の何かが身体にかけられているというのもこの僅かな時間で把握した。


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