ケータイ小説 野いちご

俺が意地悪するのはお前だけ。

◆悪魔の命令







「In the same year, however, Joseph Lister applied Semmelweis' ideas to open wounded caused by ―― 」


 滑らかな発音で読み上げられる英文にクラスメートはおろか英語の先生まで関心したようにほうっと溜息。


 テキストを片手に持ち、席を立って音読しているのは隣の席の幼馴染み、松岡蓮。


 完璧なイントネーションに教師は絶賛。


 女子達は熱い羨望の眼差しを送り、今にも拍手喝采が起こりそうな雰囲気。


 これが、蓮が転校してきた翌日の1時間目の出来事。



「松岡、この数式の答えはどうなる?」


「X>5/2です」


 2時間目。


 数学の教師に指名されて、悩む素振りなんて一切見せずにサラリと答える蓮に女子の皆さんは以下略。



「キャーッ、蓮くんカッコいい!!」


「やばいっ、運動神経まで抜群とか完璧すぎなんですけど」


 そして、午後。体育の時間。


 グランドで短距離の記録を図る授業で、蓮はぶっちぎりのタイムで100メートルを完走。


 それも、特別息を乱すことなく、走り終わった後も余裕の表情。


 陸上部顧問の体育教師が蓮のタイムに「!」と衝撃を受け、即座に陸上部へスカウトする事態に。


 女子は体育館で授業中だというのに、ほぼ全員がグランドを見渡せる扉の前に集まってキャーキャー騒いでいる。

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