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…とある昼休みの一年二組。







「…おっ。…おぉっ!アゲ、来いよ!新作更新だ!」

「なんでえ純基。新作?…おぉっ!瞳真のノート?!デスノートきたー!」

「えっ?何なに?私も見たーい!」

「村河さんもすっかり更新の虜だな。…で、今回は何書いてあんのよ。ノートの隅っこの余白に小さーく何て書いてあんのよ。今にも死にそうな字で何書いたんだ?あやつは」

「ほら。見ろ見ろ。意味深だぞ?主旨不明だけど」

「…ん?…《頼れる男になる》?…何だこりゃ。スベってんのかスベってねえのかわかんねえ。ホント意味深だ」

「あちゃー。願望が出ちゃったんだね、きっと。でも瞳真くん、頼れる男になりたいのかな?」

「願望もいいところだな。どういう頼れる男になりたいんだ?どがべん?くっきんぐぱぱ?縦にも横にも大きい容姿系?…瞳真じゃなくなるな。イケメンじゃねえし。イタイな。イタイ願望だよ」

「敦斗みたいに面倒見が良いワケじゃねえし、フリーダム過ぎるから無理だろ。生まれ変わる勢いだぞ?」

「瞳真くんにも憧れがあるんだね。先輩に石を投げちゃうのに」

「っつーか、瞳真が頼れる男になっちまったら、それはもう瞳真じゃねえだろが。あんた誰?ってなるぞ。嫌だな。瞳真にはあのままでいてもらいたい。予測不能でシュールなことをするから水口瞳真なんだよ」

「頼れる男、頼れる男…キャプテンに石を投げてシラきってるうちは無理だな。しかし、何でこんなこと書いたんだ?ヤツは」

「自分の未熟さを知ったとか?ほら、この間、通りすがりにキャプテンのカバン踏んでた。捨てられたビラを気付かず踏むのと同じ感覚で」

「はい!村河さん!そこでも瞳真は未熟じゃなかったら瞳真じゃない!未熟だからこそ天然記念物なのだよ!ヤンバルクイナと一緒!カバン踏むの大いに結構!」

「ヤンバルクイナは未熟かな…」

「その通りよ上松。このスベってるようでスベってない、この微妙な線がスベってないのよ」

「おっ、横マネ。スマホ持って登場?また写真とんの?このノートの隅っこ、写真とんの?とんの?」

「撮るわよ。水口のネタ集作ってんだから。この水口のビックリ顔写真を表紙にして来年の学祭で販売するわよ?」

「売れるかどうかビミョーだな。頼れる男になっちまったら、恐らく売れないぞ。頼れる男・水口!…全然エモらねえ」

「バカね。あの天然被害妄想男が頼れる男になれるワケないじゃないのよ。世も末ビッグバンよ。しかし、何でいつも隅っこの同じ位置に書くのかしら。パラパラ漫画になるとでも思ってるのかしらね」

「横川さん、言うね…」

「で、このノートの持ち主ヤンバルクイナはどこに行ったんだ?」

「…あ!またミスター蓑島と廊下でモメてるぞ!…あ!ケンカになる!やめ!やめれやめれ!」

「やめろ瞳真!ケンカする前に仙道先生に手紙は書いたのか?!那巣川天心になるな!」

「バカとアホのデスマッチよ」

「はぁ…」



みんな、勝手な事ばかりいいますね。

おわり。