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「…ホントにいいの?」

「いらない!…もういいってば!もう行こ!もう10時過ぎてる!」

「まだ10時じゃーん。時間あるでしょー。俺、張り切ってやってやるのにー。ホントは足だって俺がやりたかったー」

「いいの!」



サンダルを履くので、ペディキュアをした方が良い!とエセプロデューサーに提案され、綺麗に塗り直していたところ。



「手の爪は塗らないの?俺がやってあげようか?何なら足もその続きを…」



蓑島くんが、マニキュアを?

私の手足に?

男の人って、マニキュア塗れるの?



私の手足を触ることになるんでしょ?

何か…やらしくない?

き、きもっ!

イケメンのくせに、キモい!



…じ、冗談じゃない!却下!




「えーっ。俺がやってやるってんのに…」

出発の準備を終え、家のカギをかけているその横で、蓑島くんは口を尖らせて文句を言っている。

「それ、非常に気持ち悪いってこと自覚して。イケメンだから許されてる部分あるけど、やってることは変態だから」

「そう?結構喜んでもらってるけど」

「………」

あなたの周りには、ろくてない女ばかりですね…。