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反論してやろうと口を開こうとしたが、それを遮るかのように、バックから『きゃーっ!』と黄色い声が響いていた。



「きゃーっ!蓑島くんーっ!」

「悠介様、お素敵!…いやぁーっ!」

「ミスタぁーっ!!」



キャーキャーと猫の発情期のような声をあげて、一斉に走っていき、あっという間に蓑島くんを取り囲んでいる。

まるで、タイムバーゲン開始に必死なおばちゃんのような勢い!

「どけ!」と、突き飛ばされて、フラッとしてしまった。

突然現れた蓑島くんも「やあやあこんにちは」と、いつもの調子で彼女たちにあの悩殺スマイルを振り撒いている。



いきなり現れて…何?

いったい…。




急に力が抜けてガクッとくる。




蓑島くんとファンの戯れをしばらく呆然と見守る。

すると、女子の一人が猫なで声で蓑島くんにすり寄るように話し掛ける。



「ねぇー?蓑島くん、何でここにいるのー?こんなとこで会えるとか、超嬉しいんだけどー?」

「ホントホントー!」

「ははっ。…それはね?星月がみんなにイジメられてるから、助けにきたんだー?」

「えっ…」



女子たちの顔色が一気に変わる。

途端に、全員フリーズしてしまった。