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「…ったく、杉久保。おまえどうなってんのよ」

「すみません…」



体育教官室で、タオルを借りてびしょ濡れとなった頭や髪を拭く。

私にタオルを貸してくれた糸田先生は、やれやれと言った表情だ。



「先生…ドライヤーなんてありますか?」

「あるある。使え」

「ありがとうございます…」



サッカー部の鬼監督と言われる糸田先生。

私もビビってはいたけど、状況が状況なので申し訳なく、有り難くお世話になる。



先ほど。

トイレに入っている最中に、上からバケツに入った水を投げ込まれた。

咄嗟に回避したもの、逃げ切れなくて首から上が水浸し。髪も顔もびしょ濡れ。

まるで、洗面所でシャンプーをした直後みたいな。

制服の水浸しを免れただけ、まだいいか。



そんなシャンプー直後のような状態で。

私は、真っ直ぐに教室…をスルーして、体育教官室へと直行する。

先ほど、私のズベタうんこ化した上靴を何も聞かずに洗ってくれた、サッカー部の顧問である体育教師の糸田先生のところへと向かった。



とりあえず。

びしょ濡れになった髪の毛や顔、何とかしたい。

事情を大まかに察してくれている糸田先生に、タオルでも借りようと思った。