『俺のマイラヴハニー!』

『今日はおまえのために、愛のホームランぶち込んでやるぜ!愛してる!』




数分前に出会ったばかりの人に言われた、ふざけたセリフ。



ふざけているとわかってるのに。

でも『愛してる』の一言に、なぜかキュンとして恥ずかしくなっちゃった。





---そんな、小学六年生の夏。




真夏の照り付ける太陽。

輝くも力強い日差しは、地を温めグランド上の体感温度を高める。



全道選手権大会決勝、試合は後半終盤。

現在、1-1のドロー状態。

一点をもぎ取った方が勝利、優勝という試合展開。

グランドの上に立つ誰もが必死で、宙に舞うサッカーボールを追いかけていた。



(…あと、一点)



相手は名門ジュニアユース。私達地域の少年団が挑む、まさにジャイアントキリングの試合なのだ。



絶対に勝ちたい。




『…星月(せづき)!』



ペナルティエリア付近での混戦の中から、瞳真(とうま)からのパスが高く上がる。

体が反応すると、マークを振り切って宙に浮いたボール目掛けて走り込む。

瞳真、これ最高のアシスト。



ニアで追い付き踏み込み、左足を振り上げる。

ワンタッチでボールを押し込み、ゴールネットを揺らした。



入った…!