今度こそ堂々と家族に打ち明ける前に。やっぱり一度、晶さんと会うべきだろうと思った。
夕飯が済みリビングのソファで寛ぎながら、キッチンでまだ何かの作業をしている凪に声をかける。

「凪。終わったらちょっと話があるの」


終わったらって言ったのに。すぐに切り上げ、シャツの袖をまくったネクタイ姿でソファの脇に立つ。

「・・・どうかしましたか」

「取りあえず座って」

180センチ近い身長の凪をずっと見上げるのは首が辛いし、三人掛け用のソファは二人が並んでも余裕なんだし。
理由を後付けして、空いてる自分の右隣りを指差した。もちろん初めて。凪が相席するのは食事の時だけだから。

凪は沈黙して。何か云いたそうにわたしを見下ろしてる。
何か問題でも? そう目線で返すと、眼差しで溜め息を吐かれた気配。

「・・・・・・失礼します」

膝の上に手を置き、背筋を張った姿勢で腰掛けてるのを。こういうところにも生真面目さが出るのよね。胸の内で困ったように笑みを零した。