今日の志乃は一段と暗い。
「えー、では明日からの予定ですが…」
夏休みが明け、夏の暑さが嘘のように涼しくなった十月の中旬。
高校の中での一大イベントと言っても過言ではない修学旅行が明日からあるのだ。
「楽しみだよねー!」
「本当にね!」
「美人と会えねぇかな」
「ナンパする気かよお前!」
そのせいか、いつも以上に騒がしい教室。
…というのに。
「…志乃?」
誰かが志乃の名前を呼ぶ。
その理由は一つしかない。
「どうしたの?体調悪いの?」
志乃の顔がいつも以上に暗いからだ。
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