ふわふわとした柔らかなものに包まれている。
そんな穏やかで温かな夢を、ずっと見ていたような気がする。


心地好いまどろみの中にいた私は、不思議な気持ちで目を覚ました。
直後、目の前にあった端正な顔に、一瞬息を止めてしまった。


「おはよう、莉緒」


優しい笑顔が向けられ、額に唇を寄せられる。
腕枕をしてもらっていることに気づいたのは、そのすぐあとのことだった。


「おはようございます……。あの、すみません……。腕、疲れましたよね?」

「大丈夫だよ。むしろ、莉緒の可愛い寝顔が拝めて、眼福だった」


「よく眠ってたな」と微笑まれて、恥ずかしさとくすぐったさでいっぱいになった胸の奥がむずがゆくなった。
だけど、さりげなく体を引き寄せられてしまえば、甘い幸せを感じて頬が綻んだ。


「近くのカフェでモーニングでもする? それとも、一緒に作る?」


前者に魅力を抱いたのは、ほんの一瞬のこと。
続けて出された提案の方がもっと楽しそうで、私は迷わずに「一緒に作りたいです」と答えた。