次の日は朝から、アディはルースと二人、王宮の図書室で語学の勉強をしていた。

「では、その次の部分を訳してみて下さい」
「えーと……『彼はその大きな岩を片手で持ち上げ……』」
「違います。『彼はその大きな岩に片手を添え』です。身長よりも大きな岩を持ち上げるなど、どこの巨人の話ですか」
「はい……」
 アディは、持っていたノートにルースの言葉を書き綴った。

 この国で使われているのはキリリシア語だが、世界的に広く使われているのはオリベスラ語という公用語だ。