温かなぬくもりに包まれて重い瞼をゆっくり開けると、唇が触れてしまいそうなほど近い距離で規則正しい寝息を立てている織田くん。

私の身体をやさしく包み込み眠る姿に、朝から泣きそうになる。


昨夜、あれから織田くんはみどりに連絡をしてくれて、事情を聞いたみどりが羽山くんを連れて家に訪ねてきた。

織田くんから事の経緯を聞いたふたりは放心状態だった。きっとみどりも羽山くんも、陸人はそこまでするとは夢にも思わなかったんだと思う。

その後、織田くんたちは警察に通報しようと言い出した。

当然だと思う。それだけのことをされたのだから。――でも、心のどこかでそれを止める自分もいて、迷いが生じる。

それに通報したら警察に色々と事情を話さないといけなくなる。またあの怖い記憶を思い出さなければいけないのかと思うと辛い。

その想いを三人に伝えると、最初は難色を示されたものの、私の気持ちを理解してくれて。

みどりは私についてくれていて、織田くんと羽山くんは陸人の元へ向かった。