金曜日の夜、わたしは松木くんに告白のお断りのメールを入れた。


松木くん、ごめんね。


ずっとわたしのこと、好きでいてくれたのに…。


わたしも、できることなら気持ちに応えたかった。


もしかしたら…“彼”がいなかったら、わたしは松木くんを好きになっていたかもしれない。


もしもあの“上書き”がなかったら、わたしはもっと松木くんの告白で頭がいっぱいになっていたにちがいない。


松木くんに恋愛感情も持つ可能性はあったと思う。


それがなぜ持てなかったのか。


それは…別の人物に、持ってしまっていたからだ──。


──世良くん。


わたし、気づいてしまいました。


自分からキスを求めてしまったあの瞬間に、はっきりと自覚した、この気持ち。


わたし、世良くんのことが……好き。