1回目のキスは、ほんとうにたんなる事故キスだった。


それなのに…


2回目のキスは、彼が彼の意思でしたものだった。


わたしはまったく、理解できなかった。


どうしてわたしにキスしたんだろう。


寝る前にそう考えない日はなかった。


世良くんは極めていつも通りの世良くんだった。


真面目に授業を受け、休み時間には読書をし、ひとりの時間を楽しんでいる。


クラスメイトに話しかけられるといたってふつうに会話をしている。


いつものポーカーフェイスのままだが。


わたしは2日続けてのあの出来事以来、世良くんのことを気にしてそんなふうに観察してしまっている。


『珍しいね、西埜』


あのとき、ああ、わたしの名前覚えてくれているんだ。


そう思ってしまったほど、わたしと世良くんにはなんにも接点がなかった。


そして、今も、ない。


同じクラスなのに、席が遠くてグループ等も一緒でなければ、こんなにも関わらないんだな、と意識してはじめてわかった。


わたしだけが、意識してる。


世良くんにはなにも変化がない。


わたしのことが視界に入ってないみたいに。


目だって合わないし。


恥ずかしいから、わざわざ自分から合わせようとはしないけど。


もしかして、すべてわたしの幻想?


土日をあけるころ、もはやそう思えてならなかった。