「日名田、今日の日直お前だぞ?」
「え?」
まだ肌寒さの残る3月上旬。
1限目の授業が終わって次の準備をしていた時、後ろの席の男子にペンで後頭部を突かれた。
そのまま男子生徒が黒板を指すと、そこに書かれた名前がすぐ目に入る。
『日名田 遥』(ヒナタ ハルカ)
くっきりと白い文字で自分の名前が浮かんでいた。
「あ、ほんとだ」
(あれ?でも順番は明日だったはず……)
首をかしげながら今朝のHRを思い返すと、橋本さん……出席番号が1つ前の人が欠席だった事を思い出した。
「ありがとう、龍之介くん」
「いえいえ」
スカートに付いた膝掛けの繊維をはらうと、教卓前に向かった。
白いシャツに、紺色のブレザー。
中には黒いセーター。
その下からは腰元を2回折った、チェック柄の緑のスカートが覗く。
あとは、防寒用に黒いタイツを履いている。
それが私の制服姿。