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生徒会長時給850円!

アルバイト

数時間かけて、ようやく伯父さんの家に着いた。私の家から伯父さんの家まで、車で3時間以上はかかる。私は車から降りると、大きく伸びをした。

「ふあぁーー、それにしても、伯父さんの家はやっぱり豪華だなぁ。庭も広いし」
「そうかな? ありがとう」

私は伯父さんの後ろについて、大きな黒い扉をくぐった。名前はわからないけど、色とりどりの花が私達を出迎えてくれた。

伯父さんが鍵を開けると、女性が優しい笑顔で玄関に立っていた。

「おかえりなさい! 美世ちゃん、大きくなったねぇ」
「伯母さん、お邪魔します!」

彼女は伯父さんの奥さんだ。年齢よりも若く見える。歳は聞いちゃいけないが。私は靴を脱いで、懐かしの部屋に入った。



「これが学校の制服か……」

私は伯父さんからもらった制服を見て呟いた。至って普通のセーラー服。当たり前だが、学校を辞めてから制服を着なかった。再び制服を着るなんて……しかもバイトで……。

バイトを引き受けたものの、本当に大丈夫なのだろうか。小さくため息をつき、その息が制服にかかる。高校に通っていた頃は、毎朝制服を着るのが億劫だった。生徒でないとはいえ、またため息で埋もれてしまうのかな……? 少し不安に思っていると、伯母さんが私に声をかけた。

「美世ちゃん、ご飯できたけど食べる?」
「うん!」

私は制服をハンガーにかけ直し、部屋を出た。



食事をしながら、私達はのんびりと会話をした。

「美世ちゃん、ここは田舎だけど、ゆっくりしていってね!」
「ありがとう、伯母さん。あー、久しぶりかもしれないな、親以外と話すのは」
「そうよねー、美世ちゃんニートだし」
「ニートじゃない!!」

そう信じたい。それに、これから少しだけ働くんだ、もうニートとは呼ばせないぞ。

「アルバイトのことだけどね、して欲しい仕事の内容や時間は、その都度僕の方から伝えるね。大丈夫、最初の方はそこまで仕事もないし、気楽にいよう!」
「そうだな、ありがとう」

伯父さんと伯母さん、2人ともとんでもないことを言う時もあるけど、とても優しい。生徒会長の仕事って、たぶん学校の生徒と関わらないといけないこともあるんだろうな。それは少し、いやかなり気がかりだが……金がもらえるし、いい社会勉強になるかもしれない。

私は小さく笑って、再び食事を続けた。伯母さんは料理が上手いな。私は不安と期待を抱えながら、食べ物を静かに飲み込んだ。

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